林国本
今年の秋は、文字どおり「実りの秋」となりそうだ。テレビでは連日、全国の穀倉地帯でのコンバインによる収穫の映像が流されている。それにさらに、キャスターの興奮気味の解説を耳にしていると、やはり安堵感みたいなものを感じるのは、やはりわれわれの暮らしている社会の基層は農耕社会なのかなと考えることもある。
私が仕事で日本に長期滞在していた頃、テレビで日本の農村での大豊作の映像を見たことがない。これは日本がすでに完全に工業化社会、情報化社会に入ったことを物語っているのかも知れない。逆に当時日本では減反政策といったものも実施されていた。
中国は人口のかなりの部分が農民で、ここ数年、都市化や一部農業従事者の小都市への移住がすすめられているが、農村人口がかなりの割合を占めていることは否めない。
ちなみに、中国ではいまだに旧暦が使われており、旧正月の方が大型連休となり、一族のものが集うことになっている。私が仕事で日本に長期滞在していた頃は、東京ではクリスマス・イブあたりからにぎやかになり、特にデパートなどでは大々的なセールスが行われ、私たちもソワソワし出していることに気づく。それに続くのが新暦のお正月。日本で正月の休みに入り、霞が関の大通りなどは、通行人もガタ減りとなり、われわれも少なくとも一週間は休暇となる。そして、日本人の生活リズムの真似かも知れないが、浅草あたりに出かけたりしていた。その後、旧正月がやって来るのだが、中国国内では本社も大型連休となるが、私たちは日本のリズムに合わせて暮らしているので、せいぜい横浜の中華街に出かけて、華人華僑のお正月ムードに浸って来るだけであるが、とにかく少し神経質になると、なにか自分のバイオリズムに変調をきたしたように感じることもあった。