日本車の価格は一貫して安定しており、大幅な割引きキャンペーンを行うことはまれだ。価格戦は日本車のやり方ではない。しかしそんな日本車が価格戦に打って出れば、効果は倍増する。
ホンダの中国合弁会社「広州ホンダ」は価格戦の仕掛け人ではないが、派手なパフォーマンスをみせている。広州ホンダの姚一鳴副総経理は先日、下半期(7-12月)に10億元(約120億円)を投じて、高級車セグメントにおけるインスパイアの首位を保つと宣言した。現在、この10億元の経営政策などに関する草案はほぼ出来上がっている。ディーラーが下半期にインスパイアの販売ノルマの110%を達成すれば、年末には1台当たり2千元(約2万4千円)の利益還元を行う。このほか、エリアごとにディーラー間の販売競争を実施し、すぐれた販売業績を挙げた販売員にボーナスを与えるという。
日産の中国合弁会社「東風日産」は上半期、好調な売れ行きをみせたが、まさに価格戦のたまものだ。6月、インスパイア、カムリなどは震災の影響で供給が滞ったが、新型ティアナは4万元(約48万円)もの割引きキャンペーンを行い、同クラスでは同月最高の販売業績を挙げた。
「トヨタは年間目標の達成に向けラストスパートをかける」。トヨタと中国の自動車大手「第一汽車集団」の合弁会社「一汽トヨタ」の田聡明常務副総経理は8月の中間発表会で、上半期に震災の影響で販売が落ち込んだが、年度目標の調整は行わず、年間55万台の目標を貫く方針を示した。生産状況の回復とマーケティング戦略の効果により、7月の販売台数は大きな伸びをみせ、5万7千台を突破、9位から6位に順位を上げた。うちカローラは前月比62.4%増の1万8902台を売り上げ、販売台数で首位に立った。
「7月の販売の伸びは、一汽トヨタの試乗体験キャンペーンと顧客サービスの重視などの相乗効果で生まれたものだ」と語る田氏。昨年7月、一汽トヨタはオフシーズンの割引きキャンペーンに力を入れていた。しかし今年、特に第3四半期(7-9月)からは、マークX、カローラ、カローラEX、ランドクルーザーの10車種を対象とした過去最大の試乗体験イベントを、天津や武漢などで展開。トヨタは年度目標の達成に向け、マーケティング方式を大きく転換した。