今年、米国債の発行額は14兆米ドルに達し、国際的な警戒ボーダーラインを大きく上回っている。当然ながら、今の米経済の難局は、戦争が直接の要因とはならないだろう。米経済の金融化の構造の欠陥、米政府のその場しのぎの対応、国民の過剰消費体質もその要因となるはずである。だが、戦争につぎ込んだ金銭的、人的コストは、米経済の衰退をはやめたことは間違いない。
ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ・コロンビア大学教授は、両戦争で米国の資源が大量につぎ込まれたことを指摘し、「軍事費が急増したため、米国全土の財政配分のバランスが大きく崩れ、連邦政府の景気回復のための財源が確保できなかった。オバマ政権はイラク戦争の後始末に相当苦労するだろう」と述べている。
9・11事件から10年が経とうとしているが、ニューヨークの世界貿易センタービル跡には、かつての栄光は感じられない。跡地に建つ新しいビルはまだ建設中である。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンを葬り、米国はテロへの不安はなくなったように見える。だが、米国は本当に安全になったと言えるだろうか?この10年、安全への恐怖感は募るばかり、経済は低迷し続けるばかりである。テロ事件を報復するための2つの戦争は、結局、多くの人を傷つけただけで、誰の利益にもならなかったのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年10月8日