たとえば今年9月には、ナイキが中国と米国で販売する同じ製品番号のバスケットシューズの品質や価格に違いがあることが明らかになった。あるインターネット利用者によると、北京市の大悦城のナイキ専門店で1299元で買ったバスケットシューズが、米国では125ドル(約800元)で売られており、米国販売製品にはエアクッションが2つあるが、中国販売製品には1つしかなかったという。
上海出入境検験検疫局がこのほど明らかにしたところによると、今年上半期に上海税関から輸入された衣類製品の抜き取り検査不合格率は55.8%に達した。スペインのファッションブランドZARA(ザラ)は、中国消費者協会の品質ブラックリストに2年間で7回登場した。今年4月、北京市消費者協会はZARAには製品表示に虚偽の内容が含まれている、製品が退色しやすいといった問題があることを明らかにした。ZARAは当初、この調査結果をまったく取り合わず、沈黙を守り通した。だが消費者はうやむやにすることを許さなかった。強い世論の圧力を受けて、ZARAは名指しで批判を受け、製品の品質の問題で消費者に与えた損害をめぐり、妥当な解決策を打ち出すことを求められた。ZARAは態度を改め、問題ある製品のリコールを行った。
中投顧問の薛勝文シニア研究員によると、現在の中国の多国籍企業に対する態度はこれまでより理性的なものになっている。このことは消費者が選択においてより理性的になっていることからもうかがえる。消費者は国内企業の製品と多国籍企業の製品とのコストパフォーマンスをより客観的に選択し、評価できるようになり、理性的な消費ができるようになっている。通信が高度に発達した今日、中国の消費者は問題があればすぐに呼びかけ、明らかにし、団結して、積極的に権利を守るようになった。こうした背景の下で、多くの多国籍企業がこれまでのやり方を変えなければ中国市場で足場を築けないことを認識するようになり、製品やサービスの向上を重視するようになった。