アジア太平洋経済協力会議(APEC)の第19回非公式首脳会議に出席する胡錦涛中国国家主席は現地時間10日午後、ハワイでアメリカ工商業界の代表と会談した。胡錦涛主席はアメリカ工商業界が中米両国の交流を促進し、アジア太平洋経済の協力に重要な役割を果たしていると評価した。また、中米の貿易関係はウィン・ウィンの関係であるべきだと強調した上で、中米貿易関係の深化が両国民の生活と世界経済の回復・成長に影響をあたえるとし、アメリカ工商業界が中米経済協力関係及び中米関係の発展にさらに貢献するよう求めた。
胡錦涛主席は会談で、「世界の経済回復に影響をおよぼすリスクが増加している。このような状況の下では、国際社会はウィン・ウィンの精神をもって、互いに協力し合わなければならない。中米経済関係は課題と発展のチャンスに直面している」と述べた。
胡錦涛主席はチャンスとしては、以下の4点を挙げた。
一つ目は、経済構造の調整に起因するチャンス。胡錦涛主席は、「中国は今後5年間の経済・社会発展計画を策定し、内需の拡大を経済モデル転換の主要な目標に定めた。工業化、都市化、農業の現代化の過程で、巨大な消費と投資需要が生まれる見通しである。また、中国の輸入総額は今後5年で8兆ドルを超え、消費品の市場規模も2015年までに5兆ドルに接近する。これは製造業の復活と輸出の倍増を目標に掲げるアメリカに対し、巨大な市場を提供することを意味する。アメリカがいち早く中国へのハイテク製品輸出制限を緩和すれば、中米貿易のアンバランスを緩和するだけでなく、アメリカ経済と雇用の促進につながる」と主張した。
2つ目は、対米投資の急成長に起因するチャンス。胡錦涛主席は「我々はアメリカ企業による対中国投資の拡大を歓迎し、両国による双方向の投資拡大に賛同する。中国企業の対米投資は中国企業の発展に有利なだけでなく、アメリカ経済と雇用にも貢献する。我々は中国企業の対米投資を歓迎するとしたアメリカ政府を評価し、アメリカがさらに多くの行動を採るよう期待する」と述べた。
3つ目は、両国経済関係の新たな成長分野に起因するチャンス。胡錦涛主席は「中米両国は、新エネルギー、クリーンエネルギー、省エネ、二酸化炭素排出削減、バイオ医薬、航空、宇宙、インフラ建設などの分野で、協力の需要が大きく、優位性の相互補完もできる。これらの分野の潜在能力を開拓できれば、中米経済関係の将来は計り知れないものとなる」との見方を示した。
四つ目は、地域協力の発展に起因するチャンス。胡錦涛主席は「地域間の協力も活性化してきている。過去10年、アメリカの47州で対中国輸出が3桁成長を記録した。今年、中国とアメリカは省長・州知事フォーラムを設立、これまでに2度対話を行い、地域の経済、投資、観光など広い範囲にわたって協力関係を促進した」と述べた。
胡錦涛主席は、中米貿易は今後3,4年で5000億ドルを突破できると指摘。そして、「両国の企業が競争になるケースも出てくると思うが、それは自由貿易と市場経済の必然的な現象である。公平な競争は両国企業を相互に刺激し、ともに成長させる。両国は平等な協議を維持し、市場のルールとWTO(世界貿易機関)の規定に従って貿易摩擦を適切に処理すべきである。経済・貿易問題を政治化すべきではないし、保護主義も実施すべきではない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月12日