10月29日、JR新橋駅付近で数百人規模のデモを見かけた。横断幕には「TPPは亡国につながる。絶対に許さない」などと書かれていた。
このたびのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、米国が真っ先に提起するのは「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)だ。この9カ国による、APECの会議場外で協議が行われる貿易協定が、このたびのAPECの議題の中心になることは間違いない。TPPは米国をアジア地域の貿易構造の中心に引っ張り込む可能性がある。「南方日報」が伝えた。
▽アジア・太平洋は米国の輸出拡大戦略の第一の目的地
「なぜ提起するのか?」
グローバル金融・経済危機の洗礼を受けて、オバマ政権はかねてよりの輸出促進戦略をいまだかつてないほどの高みに押し上げることになった。欧州が主権債務危機に陥ってもがき、カナダや中南米は市場の容量に限界があるか、成長の意欲はあっても力がないかで、当然の成り行きとしてアジア・太平洋地域が米国の輸出拡大戦略の第一の目的地となった。
TPPはもともと2005年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイがAPECの枠組内で調印した多国間自由貿易協定だ。08年に米国が加盟し、その後、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが相次いで米国の後を追った。11年に入ると、米国は日本と韓国にも加盟の圧力を強くかけるようになった。
商務部国際貿易経済合作研究院中国対外貿易研究部の梅新育副研究員によると、米国は輸出促進戦略をこれまでにない高みに押し上げるとともに、「輸出を5年で倍増させる」との目標を打ち出した。輸出によって経済の持続的な成長に動力を提供し、米国の優位と影響力とを確保したい考えだ。