京都議定書が議決された90年代末は、西側諸国の黄金時代だった。当時は守るべき地球は全人類共通の故郷であり、西側が「絶対的主導的地位」を占める世界だった。十数年後、新興国が発展すると、西側の態度は大きく変わった。欧米諸国はいかに自らの「主導的地位」を守るかに固執し、地球環境のことは二の次になった。
温暖化対策を話し合う国連会議の混乱現象は西側の戦略の心理的変化を表している。冷戦後、世界の政治心理体系は崩壊に向かい、不公平感、異常な危機感が西側社会で膨らんでいる。過去に西側が第三世界の様々な「非文明的行為」を批判した状況が今後、西側諸国で再度演じられる可能性がある。
カナダは世界の温室効果ガス削減の割り当てに意見があるとしても、国際公約からの脱退という極端なやり方で抗議するべきではない。まるで「核拡散防止条約」から小国が脱退するのと変わらない。日本、オーストラリアなどもカナダにまねて「京都議定書」から脱退する可能性があるといわれる。もしそうなれば、世界は新しい「無政府主義の状態」に入るだろう。