一、貧困扶助開発の政策と実施
10年来、中国の国民経済は着実かつ比較的速く伸び、総合的国力はたえず増強された。この過程で、国は貧困扶助開発を国民経済と社会発展のトータルな計画に組み入れて農村の貧困地区の発展にとってプラスとなる政策と措置を制定、実施し、貧困扶助への資金投入を公共財政を案配する優先分野とし、貧困地区が公共財政をサポートする重点地域とし、貧困地区への扶助の度合いをたえず大きくし、貧困扶助政策への取り組みを確実に高めてきた。
農村政策。中国は伝統的な農業大国であり、農村人口が多く、貧困現象が際立っている。貧困を減らすうえでプラスとなる農村政策を実行するのは、農村の貧困問題を取り除くうえでたいへん重要なことである。10年来、国は都市と農村の経済社会の発展を統一的に計画案配する方途、および工業が農業を養い育て、都市が農村をサポートし、「多く与えて、少なく取得し、活性化させる」という方針を実行し、農村経済社会の発展を全面的に促進し、それによって貧困地区と農村の貧困人口に普遍的に受益させてきた。国は牧畜業税や豚屠殺税、農林特産税をあいついで廃止し、とりわけ中国で2600年以上も存在してきた農業税を廃止し、そして法律的にそれを定着させ、中国の広範な農民に農業税を納入するという歴史から徹底的に別れを告げさせた。食糧作物栽培の農民に直接補助金や良質種子に対する補助金、農機具購入のための補助金、農業生産財の総合補助金を全面的に給付し、農村の社会保障のシステムをちくじ構築し、完全なものにし、農村の飲料水、電力、道路、メタンガスなどのインフラ施設の整備と農村の老朽家屋の改造を推進した。集団林権制度の改革を推し広め、農民に林地請負経営権と林木所有権を確実にもたせ、各項目の優遇政策を実行に移し、森林地帯の経済と森林観光を発展させて、農民の収入を増やした。「強農恵農富農(農業・農村を強化し、農民に実益をもたらし、農民を豊かにすること)」と貧困扶助開発への資金投入をたえず拡大し、中央財政が「三農(農業・農村・農民)」に用いる支出を、2003年の2144億2000万元から2010年の8579億7000万元に増やし、年平均21.9%の伸びとなり、公共財政の農村をカバーする足取りが目に見えて加速された。国の一連の「強農恵農富農」政策はまず貧困地区から実施されはじめたのである。その中には、農業税を免除する試行地区、農村義務教育の「二免一補(農村の義務教育の段階における困窮家庭の生徒に対する教科書代の免除、雑費の免除、寄宿生への生活費補助金の支給)」政策、国が新たに手配した公益的基本建設プロジェクトには減少あるいは県や県以下のその関連の組み合わせの廃止を、なによりもまず国の貧困扶助開発活動の重点県で行った。一部の「強農恵農富農」の政策は貧困地区や貧困人口に傾斜することになった。中央財政は農村の最低生活保障や新しいタイプの農村合作医療、新しいタイプの農村社会養老保険の制度の構築においては、中・西部地域に比較的に大きなサポートを与えた。2010年に、民政部門が新しいタイプの農村合作医療に加入した延べ4615万4000人に経済的援助を与え、援助資金は14億元にのぼり、1人あたり30.3元を援助した。
区域の政策。20世紀末に、中国政府は西部大開発戦略を実施することになった。中国の西部地区は自然環境が相対的に悪く、インフラ施設が比較的立ち遅れ、貧困人口も比較的集中している。10余年来、西部大開発のために実施された水利、耕地の樹林復元、資源開発などのプロジェクトは、同じ条件のもとでは、貧困地区で優先的に実施し、道路建設も貧困地区への延長を加速し、貧困地区の県政府所在地を国道、省道幹線とリンクし、インフラ施設プロジェクトにはなるべく貧困地区の労働力を利用し、貧困人口の現金収入を増やすことにした。国は一連の区域の発展政策を打ち出し、チベット自治区や四川・雲南・甘粛・青海など四省でのチベット族地区および新疆ウイグル自治区、広西チワン族自治区、重慶市、寧夏回族自治区、甘粛省、内蒙古自治区、雲南省などの地域の経済社会の発展を促すとともに、農村の貧困扶助開発を政策の重点として推し進めた。