二、貧困扶助開発の成果
10年このかた、中国農村住民の生存と衣食問題は基本的に解決され、貧困人口の生産・生活環境は目に見えて改善され、貧困地区のインフラ施設もたえず完ぺきなものとなり、社会の発展レベルもさらに向上し、生態悪化の勢いが初歩的に抑えられた。
農村住民の生存と衣食問題が基本的に解決された。国は経済社会の発展水準の向上と物価指数の変化に基づき、全国農村の貧困扶助基準を2000年の865元から徐々に2010年の1274元に引き上げた。この基準に合った農村の貧困人口は、2000年末の9422万人から2010年末の2688万人に減り、農村の貧困人口が農村人口に占める割合は2000年の10.2%から2010年の2.8%に下がった。
貧困地区の経済が全面的に発展している。貧困地区の生産構造がいっそう最適化され、優位性や特色のある産業が迅速に発展し、県域経済の総合実力がたえず増強している。2001年から2010年までに、592の国家貧困扶助開発活動の重点県では1人あたりの地区生産総額が2658元から1万1170元に増え、年平均で17%増加し、1人あたりの地方財政の一般予算収入が123元から559元に上昇し、年平均で18.3%に増えた。農民の1人あたりの純収入は2001年の1276元から2010年の3273元に増え、年平均で11%(物価要素を差し引いてはいない)伸びとなった。これら数値の増加幅はいずれも全国の平均水準を上回った。
貧困地区の生産・生活環境が目に見えて改善された。国は貧困地区の生産と生活環境を全面的に改善するため、貧困地区のインフラ整備への資金投入をたえず拡大してきた。2002年から2010年までに、592の国家貧困扶助開発活動の重点県において、新たに増加した基本耕地は5245万6000ムー(1ムーは6.67アール)、新たにつくるかあるいは改築・増築した道路は95万2000キロ、新たに増加した教育・衛生用家屋は3506万1000平方メートルにのぼり、5675万7000人と4999万3000頭の家畜の飲料水問題が解決された。2010年末現在、国家貧困扶助開発活動の重点県において農村の飲料水のための水道、深水井戸のある農民世帯は60.9%に達し、自動車道路が通じる村落の比率が88.1%、電気の開通しているものが98%、電話の開設しているものが92.9%、農家の1人あたりの住居面積が24.9平方メートル、在来型の便所と水洗式トイレの使用比率は88.4%に達した。貧困地区の農村の様相は目に見えて改善された。
貧困地区の社会事業がたえず進んでいる。農村における義務教育が強化され、青・壮年の非識字者一掃のキャンペーンが大きな進展をとげ、2010年末までに、国家貧困扶助開発活動の重点県においては7歳から15歳までの学齢児童の入学率が97.7%に達し、全国の平均水準に近づき、青・壮年の非識字者率は7%で、2002年より5.4ポイント下がり、青・壮年の労働力の教育を受ける年限は平均して8年に達した。新しいタイプの農村合作医療はすべての農村をカバーすることになっている。末端の医療・衛生サービスシステムの整備がたえず強められ、2010年末までに、国家貧困扶助開発活動の重点県では、新しいタイプの農村合作医療に加入した農家の比率が93.3%、病気にかかってもすぐに治療できる比率は91.4%に達し、各郷(村より広い行政区画)には診療所、大多数の行政村には診察室が設けられている。貧困地区の人口・計画出産活動、公共文化サービスシステムの整備がひきつづき強化されている。
貧困地区の生態環境悪化の趨勢が初歩的に抑えられた。2002年から2010年にかけて、国家貧困扶助開発活動の重点県では、1億4923万5000ムーの耕地を森林や草地に戻すことを実行し、2億2643万4000ムーの経済林が新たに増えた。国家貧困扶助開発活動の重点県で飲料水源が汚染されている農家の比率は2002年の15.5%から2010年の5.1%に減り、燃料の入手が困難な農家の比率は45%から31.4%に減った。