記者:次の10年、中国が発展を続けるにはどういった問題を解決する必要がありますか?
服部氏:第一には、産業と技術の創造力の問題があるでしょう。中国経済は世界二位となりましたが、国外に名が通った企業がありません。日本のソニー、東芝、トヨタといった名前と肩を並べるような企業がまだほとんど出ていないのです。映像・家電・自動車など各分野に有名ブランドを持つ日本とは、この点で異なっています。中国は鉄鋼・冷蔵庫・テレビの生産が世界一で、全世界に輸出展開していますが、抜きんでたブランドを持ちません。技術投資を積極的に行ってはいるものの、成功を急ぎ、目に見える形の成果を重視してきた結果、基礎研究が立ち後れる事態になっているのです。
第二に、資産バブルの問題があります。過剰流動性を背景に、多くの資金が不動産市場と株式市場に流入し、実体経済に影響を与えています。