第三は、企業家の育成が不足していることです。日本の松下幸之助・本田宗一郎・稲盛和夫のような国際的影響力を持った企業家が、中国にはいません。
第四に、貧富格差の問題です。クズネッツの「逆U字型曲線」によれば、経済成長の初期に国民収入の格差が広がっても、経済が引き続き成長すればその差は縮まるとされており、日本やその他のアジア諸国は概ねこの曲線に従った発展をしています。ところが、中国ではこの曲線が全く当てはまりません。このことは、個人所得税や相続税などに合理的な税制を取り入れて収入を再分配する問題に関わってきます。
第五は、高齢化社会の問題です。中国は未だ、社会保険制度や医療保険制度が整っているとは言いがたい状態です。今はまだ社会に蓄積された財産があるおかげで、今後10年は持ちこたえられると思われますが、対策を講じなければ将来的に大きな問題となります。