日本人専門家:行き詰った米流金融資本主義

日本人専門家:行き詰った米流金融資本主義。 寺島実郎氏は日本総合研究所理事長、三井物産戦略研究所会長を務めると同時に、日本の政治・経済界で数々の要職を担当し、「新経済主義宣言」や「世界を知る力」など20以上の著書がある。新華社記者が、アメリカ流金融資本主義の破滅などについて寺島氏にインタビューした…

タグ: 米流金融資本主義

発信時間: 2012-01-21 15:34:42 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

◇過去とはまったく違う今回の米金融危機

記者:この100年余り、資本主義は幾度となく世界に経済危機、金融危機をもたらした。これまでの危機と違い、今回のアメリカ流金融資本主義の危機はどこが特別なのか?

寺島氏: 今回はこれまでまったく違う資本主義の危機といえる。

最大の違いは、金融経済の「極度」な膨張にある。近代史上の資本主義の危機は、植民地主義的略奪にしても、帝国主義国家の戦争にしても資源の争奪にすぎなかった。しかし今回の危機は極度に膨張した金融と実体経済の乖離による危機といえる。これは国家間の利益争奪による危機と本質的に異なる。ある意味では世界的範囲でみると、現在の金融資本主義の危機はあたかも全人類がウイルスに感染したようなものだ。

事実、世界がいつのまにかマネーゲームに巻き込まれたが、このゲームをどうコントロールするか誰も知らない。実体経済においては生産・製造、サービス提供といった経済活動を通じて報酬を得るが、マネーゲームでは、マネーがマネーを生む。そのためいわゆる「貧富の二極分化の資本主義」が誕生し、こうしたメカニズムにおいて金持ちはさらに金持ちに、貧乏人はさらに貧乏になっていく。マネーゲームでは一回の取引で数億ドルの富がもたらされる可能性がある。富は雪だるま式に膨張するが、実体経済において生産やサービスに携わる一般人が1時間に得られる報酬はどんなに努力しても限界がある。そうすると実体経済と金融経済のどんどん乖離していき、貧富の二極分化は拡大する。

冷戦終結から20年、アメリカ流金融資本主義が世界を風靡し、われわれは「グローバル化」と名付けたが、冷静に考えると、実際にはウォール街の「マネーゲーム」のグローバル化だということに気づく。今の問題は、アメリカ式金融資本主義が救いようのない状態にあるということだ。これから問題をどう最小限にとどめ、どうコントロールするかが今回の危機で最も頭を抱える難題だ。

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