◆液晶大手のシャープが巨額赤字
新韓投資公司のソウル駐在アナリストのキム・ヨンチャン氏はロイター通信に対して、「これはソニー1社の問題ではなく、日本全体の科学技術企業が同様の問題に直面している。テレビ、ディスプレイ、タブレット型PC、スマートフォンの各主要業務部門はイノベーションを持続できておらず、業界の最先端を行く商品を発売していない」と指摘した。
シャープは液晶の代名詞であり、液晶テレビにより新たな発展を実現し、世界一流のテレビ企業となった。同社は日本の亀山市や堺市に液晶パネルの生産ラインを敷いている。同社の亀山工場が生産する液晶パネルは、中国で高い知名度を誇る。
シャープの成功は液晶によるものであったが、失敗の原因も液晶だった。昨年、世界的な金融危機により液晶テレビの需要が疲弊し、液晶パネルが供給過剰に陥り、パネル価格が大幅下落した。欠損はパネル産業全体に波及し、同社も影響を免れなかった。これに東日本大震災による同社のパネル工場への影響が加わり、巨額の赤字を計上することになった。
シャープは2月1日、「3月31日で終了する本年度、赤字額はドル換算で約38億ドル(約2926億円)に達する見通しだ。これは1912年の設立以来、最大の赤字額となる」とする公告を発表した。
投資銀行ゴールドマン・サックスの渡辺崇アナリストは、「テレビと液晶パネルの在庫が、第4四半期も依然としてシャープの業績に圧力をかけるだろう」と指摘した。
シャープの業務はその他の日系家電企業と比べ単一的で、主に液晶パネルとテレビ関連の業務を展開し、太陽エネルギー業務や携帯電話業務の比率は低い。同社は液晶市場の回復を待つしかない。
韓国企業のサムスンとLGも世界的な液晶パネルのサプライヤーであり、パネル業務の赤字による影響を被った。しかし両社の業務は多元化しており、回復はシャープより早かった。サムスンは携帯電話業務と半導体業務が好調で、高度成長を実現した。