「これは日本のハイテク産業が直面する難題である」。ケネバン氏はこのように述べた。「日本のハイテク企業はライバルと張り合おうという意識がない。現在、日本企業は中国の華為や中興を仮想のライバルとしており、ノキアやシーメンズ、ルーセントなど世界の大手企業との競争を諦めている。しかし、中国の企業も日本企業を最も重要なライバルだとは考えていない」。
ソフトウェア文化を理解するなら、日本のハイテク企業は独立して決定を下し、またそれを推し進められる指導者が必要である。このような指導者は、ハード文化を理解しつつ、ソフトウェア部門の成長を促すために、ハード部門を説得できる人物であり、各部門共通の利益を保証しつつ、企業の長期的な成長と株主の求める短期的な利益要求を満たせる人物である。
ソニーの出井元社長は、井深大氏を「トランジスタ・キッズ」、盛田昭夫氏を「ウォークマン・キッズ」、大賀典雄氏を「CDキッズ」と評し、自分たちが「デジタル・ドリーム・キッズ」になろうと意識した。出井伸之氏は未来を見据えたが、現実を変えることはできなかった。出井氏は何度かアップル社を買収しようと考えたが、取締役会の反対に遭い、実現できなかった。当時、ソニーの市場価格はアップルの6倍だった。しかし、現在、アップルはソニーを4社買えるだけの資産を手にしている。