「スイスの人が欧州諸国に休暇短縮の『ブーム』を巻き起こすか?」ヨーロッパの小さな国スイスが11日に行なった国民投票で、欧州諸国全体が「パニック」に陥った。有給休暇の延長に関する国民投票で、67%のスイス人が反対票を投じ、スイスのメディアは「こんな高い福利、手に余る」と公言し、欧州の多くの人々が複雑な心境を抱えている。「スイス人は気が狂ったに違いない」と思う人もいれば、多くの人がスイス人のその冷静な態度が安定した裕福な生活を送る元となっているのだと羨望の眼差しを向けていた。ヨーロッパでは長い間、高給と長期休暇が「当たり前の権利」だと考えられていた。債務危機が発生して、国がほぼ破産状態になっても、この権利を奪うような政策が打ち出されるたびに大規模なデモが発生した。欧州の経済危機を「休まないアジアの仕事中毒たち」がもたらした国際的な競争のせいにする人も現れた。専門家の張頤武氏は「スイス人のこの選択から、欧州人の自分たちの生活スタイルへの反省が見て取れる。東洋諸国も西洋諸国も同様に仕事と休暇のバランスを取るべきである。勤労や奮闘、努力することの価値は世の中において永遠に廃れないものである」と話す。
ドイツのニーダーザクセン州にある会社の販売主任ウーリー氏は『環球時報』の記者に対し、「欧州の経済状況が益々悪化する中、その元凶が何かと考える人も多くいる。比べて、アジアの人、特に中国人はとても勤勉であり、そのおかげで中国経済は世界の経済危機の影響を受けていない。欧州は厳しい競争の中にあることを既に感じている」と話した。イギリスBBCは以前「アジアの仕事中毒を説得して休ませることはできないか」と題した記事を載せていた。文章では経済協力開発機構の調査が紹介されており、アジアの国や地域の多くは1年の平均的な仕事時間が2000時間以上に達し、ロシアは1976時間、アメリカが1778時間、イギリスが1647時間であることが分かった。韓国、シンガポール、香港などが仕事中毒のアジアの地域として紹介されていた。
アジアでは近年、休暇についての論争が巻き起こっている。韓国の法律によると、サラリーマンの1年の有給休暇は少なくとも15日、最大25日と定められている。しかし、韓国『朝鮮日報』はこれに対し、問題は韓国人の休暇取得率が非常に低いことであると指摘している。欧州人は100%休暇取得するのに対し、韓国人の休暇取得率はたったの40.7~58.6%である。その主な要因として、韓国人は休暇を取ることで仕事を失うのではないかと心配するあまり、休暇を取りたがらないことが挙げられる。韓国の休暇文化を変えるためには、長い期間がかかるだろう。
日本の専門家、永尾成治氏は取材に対し、「国民の休暇はある種の経済活動であり、経済の状況に即しているべきである」と話す。経済が上向きの時期には、休暇を増やすことで消費を刺激し、生産力を促進する事ができる。しかし、経済が落ち込んでいる時期に、労働時間を減らすのは賢明な判断ではない。「休暇は調整の手段として利用するべきであり、融通の利かないものであってはいけない。欧州の長期休暇を柔軟性のない福利とするやり方は合理的とは言えない」と永尾氏は指摘する。
厦門大学人文学院の周寧院長は「今ある経済危機は欧州の国民意識への試練である。同様の問題は、ギリシャでは全く違う反応が起こった。その意識がギリシャなどの経済破綻の元凶となったのだ」と言う。「西洋諸国であれ、東洋諸国であれ、生活スタイルについて今一度バランスを取ることを考える必要がある。国の現状をきちんと理解し、国民の需要を考慮するべきである。東アジアにある中国、日本、韓国には多くの『アリ族』と呼ばれている人々が居る。もっと多くの休暇があれば、人々の幸福感をより向上させる事ができ、社会全体の調和を促進することにもつながる」と周院長は指摘する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月15日