羅司長は、「世界的な金融危機と欧州債務危機が進行し、グローバリゼーションおよび地域経済の一体化が持続的に発展する中、北東アジアでも近頃不安定・不確定要素が出現した。これらを背景とし、中日韓がFTA交渉の開始で合意に至ったことは重大な異議を持つ」とし、以下の3つの面から分析を行った。
1. FTA交渉の開始は、3カ国の企業と国民に実質的な経済利益をもたらす。羅司長は、「北米自由貿易協定(NAFTA)の内部貿易額は地区貿易総額の68%を、EU自由貿易区の内部貿易額は40%を占めている。中日韓の3カ国の貿易総額は6900億ドル(約55兆2000億円)以上に達したが、3カ国間の内部貿易はその約20%を占めるにとどまった。自由貿易区が設立されれば、3カ国間の内部貿易や人材交流等が促進される。中国は労働集約型産業を、日韓は技術密集型産業を中心としており、相互補完がしやすい。中国の工業・商業界は利益を得られるはずだ」と指摘した。
2. 中日韓自由貿易区の設立は、将来的な東アジア自由貿易区の設立の重要ステップとなり、東アジア全体の経済発展に対してプラスの影響をもたらす。羅司長は、「現在、多くの地域が個別でFTA交渉を行っている。10年前に交渉を開始した中国-ASEAN(10+1)自由貿易区の設立により、15億人が利益を得た。中日韓自由貿易区の設立により、3カ国の約15億人に利益がもたらされる。ASEAN+1自由貿易区に、中日韓自由貿易区が加われば、東アジア自由貿易区の設立も近くなる」と語った。