最近の「安定的成長の維持」に向けたいくつかの政策・措施の実施は、2008年の世界金融危機発生時の中国の大型景気対策を想起させている。2008年は4兆元だったから、今年も数兆元になるかという発想である。これについて、アナリストは、今回の景気刺激策には短期的効果に着目した部分もあれば、中国経済の原動力を培うという長期的視点に立ったものもあるが、後者こそ景気対策の中心であり、実施過程でこれを意図的あるい非意図的に弱めることを防ぐべきだと指摘する。6日付中国証券報が伝えた。
現在の状況下で、数兆元規模の景気刺激プランを打ち出す可能性は非常に低い。たしかに、欧米などの先進国の経済が低迷し、外需が萎縮している中、景気を刺激する上で、投資と消費が重視されるのは自然なこである。当面、中国の貯蓄率が高く、住民消費意欲の短期的な向上が期待できないため、投資は経済成長の促進で最も有効な手段であると思われて当然だろう。
しかし、今回投資による経済けん引の余地は2008年の時と比べるものではない。企業と地方政府の負債水準が高くなった上、一部業種における生産能力過剰、産業構造調整の遅れ、刺激政策退出後の業種景気変動の激化など前回の4兆元投資の「後遺症」が表れ始めている。前回の大型景気対策を経て、各方面は短期間での過度な景気刺激が経済構造調整を難しくするだけだという認識で一致している。そのほか、2011年の中国の経済成長率目標が7.5%で、国の基本方針はすでに成長率重視から脱却している。