中国の2012年1-5月の輸出入総額は1兆5109億米ドルで、前年同期比7.7%増となった。うち輸出額は7744億ドルで8.7%増加。5月の輸出額は1811億ドルで過去最高を記録し、伸び率は4月の4.9%から15.3%に拡大した。
5月に輸出が急速に伸びたのはなぜだろうか。この動きは今後も続くのだろうか。中国商務部の担当者と業界の専門家がこの疑問に答えた。
市場の多角化の効果が現れ、米国やASEANへの輸出が急増
5月に中国の輸出の伸びが回復したのは、主要な輸出先市場が良好だったためである。1-5月の中国の米国、ASEAN(東南アジア諸国連合)、ロシアへの輸出はそれぞれ14.4%、14.8%、15.3%増加し、輸出の伸びを4.1ポイント押し上げた。5月単月では米国への輸出は23%、ASEAN28.3%、ロシア18.9%増加。
商務部の担当者によると、5月に対米輸出が大幅に伸びたのは米国経済に回復の動きが見られたためだという。第1四半期の米国のGDPは前期比年率1.9%上昇、消費者信頼感指数は月ごとに上昇し、輸入ニーズを押し上げた。また、市場の多角化戦略の効果も現れた。中国・ASEAN自由貿易区に支えられ、中国のASEANなどの新興市場への輸出は高い伸びを維持し、輸出全体に占める割合も拡大し続けている。
専門家は、5月の輸出の伸び回復は市場の予想通りだが、伸び率は予想以上で、その理由の一つに季節的要因が挙げられると分析。商品の納期は通常5月と6月に集中しており、納品が輸出の伸びを後押しした。商務部研究院の李健研究員によると、今年の「五・一(メーデー)」連休は4月29日から5月1日だったため、4月の数値が低く、5月の数値が高くなった。そのほか、5月に人民元上昇の動きが弱まり、対ドルレートが0.9%下落したことが輸出企業に有利となった。