これまで安価な労働力に優位性があった「中国製造」(メードインチャイナ)は、今では相次ぐ課題に直面している。最近、海外のある商工業企業機関が発表した報告書によると、中国にある外資系企業は激増する労働力コストに圧力を感じており、多くの企業が給与水準が中国より低い東南アジア諸国へ工場を移転させることを検討しているという。フランスの投資銀行ナティクシスはこのほど発表した研究報告の中で、中国の労働力コストは今後4年で米国に追いつき、5年でユーロ圏に追いつき、7年で日本に追いつくとの予測をうち出した。「人民日報」海外版が伝えた。
▽労働力コスト上昇は必然的な流れ
改革開放以来、中国は安価な労働力資源に依拠して労働集約型の製品を大量に輸出してきた。だが経済の持続的で急速な成長や労働力構造の変化にともない、労働力のコスト的な優位性が徐々に弱まっている。ある統計によると、2009年から12年にかけて、中国では基本給与の年増加率が年を追って上昇し、12年上半期の都市部住民の給与所得は前年同期比13%増加し、出稼ぎ農民労働者の給与所得も同14.9%増加したという。
国家情報センター経済予測部の張茉楠副研究員の指摘によると、改革開放スタートからの30年間に中国が得た輸出の巨額の利益は安価な労働力という要素に基づくものであり、労働力の要素価格は長期にわたり過分に低く見積もられてきた。これからの10年間は労働力コストが上昇する段階に入るとみられ、低い給与ではより多くの労働力を引き寄せ、供給することは難しくなる。中国では、人口のスケールメリットはもはや過去のものだといえる。
人口高齢化もまた中国の労働力コスト上昇の重要な原因だ。張副研究員によると、中国の人口高齢化のペースは加速している。第6回国勢調査によると、全人口に占める高齢者の割合は8.9%に上り、50年には30%に上昇することが予想される。これほど急速な高齢化はどの国も経験したことのないものだ。なぜ中国でこれほどの高齢化が予想されるかといえば、人口の基数が大きいことが原因だ。高齢化が進むと、労働適齢人口や農村から移転する労働力が減少する。供給構造を考えると、人口のスケールメリットは15年にルイスの転換点(工業化の過程で農業の余剰労働力が底をつく段階)を迎えることが予想される。また全人口に占める労働人口の割合は、11年に10年ぶりに減少している。