▽人口の質をメリットに
さまざまな見方があるとはいえ、中国の労働力コストの上昇という大きな流れは変わらない。今後はどうやって新たな優位性を見いだしていけばよいだろうか。
張副研究員によると、これまでのような労働力コストの安さに依拠して経済の高度成長を実現するというやり方はもはや不可能だ。当面の急務は、労働生産率を引き上げること、労働者の質を向上させること、人口のスケールメリットから質の高い人材資源のメリットへと移行することであり、これは中国が必ず歩まなければならない道だと言える。
労働力コストの上昇は、一方では中国企業の産業のグレードアップやモデル転換の歩みを加速させることにもなる。商務部の沈丹陽報道官がかつて指摘したところによると、適切な労働力コストの上昇は、企業の管理水準の改善、生産効率の上昇、モデル転換・グレードアップの加速を促し、労働力コストの上昇にともなって、労働力の質も相応に上昇し、労働力構造が一層最適化に向かうものとみられる。こうした動きは、対外貿易の製品構造や産業構造の調整を加速する上で新たな動力になることが予想されるという。
ある専門家の指摘によると、中国は産業構造の最適化に向けた調整を進めると同時に、人材育成構造も同じペースで最適化への調整を行う必要があるという。洪副部長によると、今後は労働力の質を高め、教育投資を増やす必要があり、産業のモデル転換やグレードアップにとっても労働者の質向上は必要なことだという。また張副研究員によると、人口のスケールメリットを享受できる時期が終わらないうちに、質の高い産業労働者を迅速かつ大量に育成する必要がある。労働力のグレードアップがなければ、産業のグレードアップをはかることは難しい。これまでのような人口のスケールメリットによって利益を求めるモデルから、人口の質によって利益を求めるモデルへの転換が必要だという。
「人民網日本語版」2012年7月31日