昨年の震災では、茨城県が1968年に建造した鹿行大橋の橋脚が崩れ、1人が死亡している。地震の影響は無視できないとはいえ、根本的な原因は設備の老朽化にある。その後、通行禁止となった橋の代わりとなる新しい橋を作らざるを得なかった。
日本の財政はどうしてこれほど逼迫しているのか。それを説明するには、1つの数字を出すことで事足りる。日本政府の今年の公共事業は4兆5000万円だが、これは1997年の半分以下なのである。地方自治体も状況は同様で、年を経るごとにカツカツの状態になっている。財源が不足している以上、新規公共事業の数を減らすしかない。重点項目はインフラの修復と震災再建事業である。2010年、日本は各地のインフラ修復に4兆7000億円を拠出しており、これは新規プロジェクトの3兆6000億円を上回る。国土交通省の予測によれば、2020年までにその予算は5兆2000億円に膨れ上がり、2030年には7兆1000億円に達するとしている。
同じく日本の首都である東京も、厳しい局面に立たされている。東京周辺を取り巻く「首都高速」を例にとれば、2009年までに全長301キロの高速道路の修復箇所は9.6万にも上る。これは2002年の2.7倍である。首都高運営会社は毎年、修復費用として600億円以上を計上している。しかし毎年修復を行ったとしても、新たに生じる修復箇所はそれ以上に増えている。首都高の95%はトンネルや高架橋であり、修復費用は驚くべき金額となる。車両を通しながら半分ずつ修復工事を行っているが、修復工事の30%を終わらせるのに40年がかかっており、その半分が30年以上の歳月を費やしている。首都高を走る車両の多くが大型トラックであり、その比率は東京の一般道路の5倍以上である。大型トラックが多ければ道路の劣化も速い。修復の費用に限りがある中、首都高運営会社は調査チームを組織し、修復箇所を調べて優先順位を付け、計画的に修復していくしかない状態である。