過去の例から、中央銀行が金利の調整を行うとき、一般的にはCPIが明らかな上昇或いは低下傾向を示すときである。一度、CPIの動向に対する見通しが変わると、金利政策の効果が表れるまでには、ある程度のタイムラグが生じることを考慮し、仮にCPIが引き続き高水準或いは低水準で変動し続けても、政策の実施は一時中断され、様子見に入る。例を挙げると、前回の利下げ周期において、2008年、中央銀行は100日間で5回の利下げを行い、最後の1回は2008年12月22日だった。その後、CPIは1%から2%の間で変動しつつ底探りを続け、2009年7月に前回のデフレの最低水準である-1.8%に達したものの、中央銀行は利下げを継続しなかった。
今後の物価の動きについて、中央銀行は第2四半期の金融政策執行報告において、「8月以降のCPIの前年同期比伸び率はある程度回復する可能性があり、当面の上昇幅は大きくないだろう」と指摘してる。また、労働力コストや一次産品、一部非貿易財に価格上昇圧力があるなどの影響により、物価は需要拡大に依然敏感であり、金融政策の緩和が経済成長を促進する効果は弱まり、インフレを刺激する効果は強まる可能性があることにも注意する必要がある。
第2四半期の金利の状況から見ると、実質金利はすでに低下している。6月末、貸出金利(加重平均)は7.06%で、3月に比べ0.56ポイント低下している。金利の変動から見ると、変動金利による貸付の割合は低下している。このデータは1回目の利下げ後の1カ月あまりの金利変動の結果を反映しているのみで、下半期の利下げの効果は徐々に表れつつあり、実質金利は引き続き低下することが見込まれる。