米国などの西側諸国では現在、実体経済回帰のブームが巻き起こっており、金融危機の影響から早期脱却する方法と、新たな経済成長の原動力を求めている。先進国は再工業化により、世界製造業の競争の主導権を奪取しようとしており、中国が深刻な打撃をこうむる見通しだ。
米国はかつて長年に渡り、世界製造業で最も高い比率を占めていた。1950年代のピーク期に、米国の製造業の生産額は全体の約5割を占めていた。しかし世界の産業移転の発展に伴い、米国は脱工業化を始めた。特にグローバル化が加速すると、生産の外部委託が大勢となった。米国はサービス業を中心とする産業構造に転向し、製造業は日増しに空洞化し、世界製造業の総生産額に占める比率が低下を続けた。2010年の米国の同比率は19.4%のみで、中国の19.8%を下回り、長年維持してきた世界一の製造大国の地位を失った。
製造業の空洞化は、米国の就業率に深刻な影響をもたらした。特に金融危機後、米国の失業率が高止まりした。オバマ政権は就業率の引き上げに向け頭を絞ったが、産業の空洞化により、その効果は非常に限られていた。米国の工場は、それ以上の従業員を抱えられなくなった。アップルのようなハイテク企業でさえ、その生産ラインの大部分を中国といった新興国に移転した。