だが量的緩和が長年にわたって行われた後も、発達した経済体の復興状況には目を見張るものがない。米国は労働力市場の復興ペースがなお緩慢で、日本はデフレの悪夢を振り払えず、ユーロ圏も今年は経済の縮小が予想される。
あるアナリストの指摘によると、このたびの通貨をめぐる実験はいまだに結果が出ていないし、終わりもみえていない。だが量的緩和は発達した経済には引き続き「最後にすがるワラ」とみなされている。
日本国内にはこのギャンブルについて最悪のケースを予測する人がいる。米国国債は海外の保有者が多く、危機を転嫁できるが、日本国債の保有者の9割は日本国民で、ひとたびその価値が下がれば、損をするのは日本国民に他ならないからだという。
国際通貨基金(IMF)はこのほど発表した「国際金融安定性報告書」(GFSR)の中で、異常なほどに緩和された通貨政策は貸出バブルを引き起こし、ひいては世界を再び金融危機に陥れる可能性がある、と警告した。