▽ふたたび復興の道へ
あるアナリストの指摘によると、通貨緩和政策に対する各方面の懸念は主に次の2点に集中している。第一に、資本の他国への流入は借り入れコストを低下させるが、これによってバブルがもたされ、自国通貨の値上がりリスクが増大する可能性がある。という点。第二に、通貨緩和政策をやめれば国債の償還コストが増大することになる、という点だ。
利害を考え、出現する可能性のある金融バブルを考え合わせると、実体経済の復興には流動性による支援が必要だといえる。これは先進国の中央銀行が量的緩和の推進を偏愛する原因でもある。
あるアナリストは、通貨緩和政策は「割引による販売促進方法」を用いて経済成長を促進しようとするもので、企業が借り入れた資金で資本的支出を拡大し、消費者が借り入れた資金で消費を拡大することを奨励するものだ。だが現在は一つ目の経済成長促進の作用がグローバル化によって帳消しにされてしまっている。企業が資金を借り入れる場所と投資する場所が分かれることが普通になったからだ。二つ目の拡大作用は借入が多すぎることで不明瞭になっている。現在の通貨政策は実質レートの持続的な低下によってしか作用を発揮できなくなっている、と指摘する。