金融政策の緩和が進むことで、資産価格の急速な上昇局面が出現する可能性が高い。つまり、2%のインフレ目標を実現する前に、日本政府は資産価格のバブルにどう対処すべきかについて検討する必要があり、この難題こそ、アベノミクスが成功するかどうかを左右する最大の不確定要素である。
異次元の金融緩和策が推進される中、経済に短期間内でのインフレ圧力は感じられない。それは、量的緩和がインフレではなく、資産価格に反映されているからである。過去数年で、アメリカはわずか2%前後の経済成長を維持し、これはアメリカにとっては比較的ひどい数値である。しかし、アメリカの株式市場は2009年の記録的な低水準から、倍以上の上昇を実現している。
それと同時に、金融市場の金利と投資収益率が低下したため、多くの投資家がリスク性資産の投資へと転向し始め、金融システムのシステマティック・リスクを高める要因となるのは間違いない。そして、上述した問題はいずれも、短期的な経済問題が中長期的に払わなければならない犠牲である。(著者:JPモルガン中国担当チーフエコノミスト)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年5月17日