◇資金の空回り:「銭荒」背後の金融異化
「流動性の逼迫」に対してじっと動かない中国人民銀行(中央銀行)。最後に矛先が向けられたのは銀行間市場で盛んな「資金空回り」の問題だった。
多くの人にとってわけがわからないのは、20日余りの「流動性の逼迫」現象が世界で最も通貨供給量が多い国で起きたことだ。実際のところ中国の金融市場の資金は不足していない。中央銀行のデータによると、今年1~5月の社会融資規模はは9兆1100億元で、前年同期に比べ3兆1200億元増加し、広義貨幣流通量(M2)は104兆元に達した。
「中国のような貯蓄率がこれほど高い国で、銀行の資金が不足するとは。これは総量の『銭荒』ではないというほかない」と中央財経大学金融学の郭田勇教授は指摘する。「中国の資金の総量は不足していない。『流動性の逼迫』は構造的な問題だ」。
金融専門家の趙慶明氏は「銀行の資金不足現象の核心的問題は、監督管理層が容認できないほど空回りする資金が増えたことだ」と語る。「今年に入って貸付投入量と社会融資規模はいずれも著しく増加したにもかかわらず、経済はいまいち活気に欠ける。それが実体経済の明らかな貧血状態を体現している。これは相当量の資金が金融機関の間をぐるぐる回り、実体経済に流れ込んでいないことをあらわしている」。