ほとんどの高級日本料理店は昼営業はしていない。その理由は食材の新鮮さを保証するためだ。最も新鮮な魚介類はその日に日本の長崎空港から上海に運ばれてくる。その到着時間は基本的に毎日午後1時から2時だ。長崎は日本の水産物の主要な市場で、上海から800キロしか離れていない。2005年から長崎の魚市場は週3回中国に魚介類を空輸しており、2012年の輸出量は100トンだった。北京の日本料理店は、ほとんどの魚介を上海経由で輸送している。これは日本からその日のうちに空輸した新鮮な魚を売り文句にしている店が、その日の昼に提供するとしたら一晩前の残った食材になるということだ。だから、経験豊富なグルマンは「昼は生魚を食べてはいけない」というのだ。
価格の高さを決定づけるのは主に選びぬかれた食材を使うためだ。これは食材の新鮮さのみならず、魚の部位にもこだわりがある。この点ではほとんどの日本料理店にすでに普及しているようだ。たとえばマグロで最も良い部分とされるのは背中と腹の部分だが、腹部はトロと呼ばれ、これがまた脂肪分が最も多く中に筋がある大トロと、筋は殆ど無いもののあぶらは大トロほどのっておらず口当たりが若干劣る中トロに分けられる。このため、最高の日本料理店は「大トロ」、「中トロ」の間の部分を寿司にし、背中の肉は赤みがあり、刺し身に最適とする。マグロの種類は必ず最高級の本マグロだ。総合すると、100キロのマグロから選りすぐられる部位は5-6キロになる。食材のコストはほとんどがこうした日本料理店のコスト全体の40%を占め、全体的な利益率はおよそ10%から15%の間で維持されている。