◆テレビ事業の分社化
VAIOの売却と比べ、テレビ事業を分社化し、専門的な子会社を設立することは、「ワン・ソニー」という戦略にもとるように見える。これは、平井社長の財務面のテクニックと憶測されている。つまり最大の赤字を抱える事業を一時的に切り離すことで、2013年度の業績を粉飾しようというのだ。
テレビ事業はソニー衰退の縮図だ。ソニーが創立後に急速に発展できたのは、トリニトロンというディスプレイ技術を開発し、当時の伝統的なCRTテレビ時代の覇者になったからだ。ソニー製のテレビの画質・音質も、世界で高い評価を蓄積した。しかしこのディスプレイ技術を過信したことで、ソニーは液晶テレビの発展チャンスを逃し、サムスンやLGなどの他社に追い越された。ソニーのテレビ事業は8年連続で赤字を計上しており、最大の業績負担になっている。
ソニー社内では、テレビ事業の売却を求める声が上がっている。しかし平井社長は多くの場で、売却を検討しないことを表明しており、ソニーはテレビ事業で「目立たぬ華麗な回帰」を実現すると称した。この華麗な回帰の手段は、4K技術だ。平井社長は画質面の取り組みを強化し、4K技術により高級テレビ市場を占め、製品の高い収益率を確保しようとしている。今年のCESで、ソニーは9機種の4Kテレビを一挙公開した。
平井社長は、テレビ事業は分社後も、同社の全体戦略の中で重要な地位を占めるとしている。平井社長は、「今年のソニーの4Kテレビは、主に米国・中国という2大市場を攻める。そのうち中国は当社が家電事業復活を実現する重要な市場だ。当社は中国で生産・開発・ソフト・設計・技術を一体化した経営体制を敷く」と語り、「中日関係が安定化し、良い方向に向かい発展することは、当社を含む日本企業の中国経営にとって極めて重要だ」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年2月11日