さらに重要なことは、投資収益率の低下だ。筆者の試算によると、中国の限界資本係数(生産高の増加分に対する設備投資分の比率。高いほど投資効率が低い)は、2007年の2.9から2012年の6.3に上昇している。
ゆえに改革は、資源配置の効率改善により多くの力を向けるべきだ。政府がこの目標を実現すれば、投資増加率が低下したとしても、投資の成長に対する貢献度がそれほど大きく低下することはない。2011年以降の経験を見ると、企業の業績が低迷すれば、家庭の所得増(および消費増)も維持できないことが分かる。
2013年中頃より、中国人民銀行(中央銀行)は「貸付規模の段階的な縮小」という手段により、その貸付および流動性に関する政策を微調整した。貸付規模の段階的な縮小には、主に次の特徴がある。貸付の増加率が下がるが、その増加率は名義GDPの成長率を大幅に上回るため、GDPに対する貸付の比率を高め続ける。この現象は2014年も続き、中国人民銀行が強制的な規模縮小を回避したことを示した。貸付縮小には、貸付構造の変化に対する努力が伴う。これは実体経済活動における貸付(中長期)の安定的な増加の維持を促しつつ、投機的な金融活動に関連する一部のシャドーバンキングを規制することを指す。その目的は、貸付縮小の過程において、実体経済にもたらされる負の影響を減らすことだ。