今年も同じ機構が「狼が来た」と呼び声を発しているが、人々は依然としてこれを疑ってかかっている。とりわけ米連邦準備理事会(FRB)の態度はあいまいで、2007年の時と同様、この警告には同意しかねるという態度を取っている。この2つの大きな機構の対立と意見の相違は、世界金融をさらに危険な境地に陥れている。現在の市場の反応には特に変わったところはないが、いくつかの国の聡明な中央銀行責任者は、これに関連する対処策の検討を静かに開始している。これに対してははっきりとした認識を持たなければならない。中国には「未雨紬繆」(雨が降る前に扉を修理する=転ばぬ先の杖)というよい習慣がある。現実に存在する問題を細かく研究し、複雑な現象の表れを通じて、内在する金融変化の法則を探さなければならない。
世界経済はいくらか回復したが、金融危機を誘発した深いレベルの原因はきちんと解消されてはいない。世界金融が目下安定を保っているのは、中国を含む新興経済国が慎重かつ包括的な金融財政政策を取り、金融の崖の前に立たされた先進国の崩壊を救ったためである。だが西側先進国が「自然治癒力」と新興国家の市場救出能力に依存し、潜在的な脅威を軽視し続けるなら、近い将来に新たな国際金融の暴風雨が発生した時、新興国は、少数の西側先進国によって危機の深みに引きずり込まれないよう自己防衛措置を取らざるを得ない。