だが改革の道は順風満帆とは言えない。内外の要素の制約を受け、APEC構成国・地域の経済の成長は近年、多かれ少なかれの影響を受け、経済リスクはいくらか上昇している。例えば米国は、金融緩和政策に過度に依存して危機を脱却・転嫁しようとしている上、国内政治の二極化が進み、構造的な改革は動力が不足し、効果も限定的なものとなっている。韓国やタイ、マレーシア、ベトナムなどの国は外需の縮小という状況下で、国内の民間融資とりわけ消費者向け融資を刺激したことで、個人債務の急成長と蓄積を生み出している。東アジアの国は貯蓄率が高く、外貨準備が豊富で、外部からの衝撃に抗う能力は高いものの、根本的に言えば、債務を牽引力とした急成長は持続可能なものではない。
このためAPECの構成国・地域にとってのポスト危機時代の重要な議題は、アジア太平洋のサプライチェーンの大きな調整を背景として、構造調整の過程における見せかけの繁栄をいかに回避し、革新と生産率の向上を通じて持続的かつ健康的な経済成長を実現するかということにある。