「人民元の切り上げ圧力の高まりや中国のかかわる貿易摩擦の頻発は、中国の対外貿易にとっては悪材料となる」と白明・副代表は指摘する。「この意味では、第4四半期の対外貿易の状況は慎重に見ていく必要がある」
今後取るべき政策としては、人民元の対ドルレートの柔軟性を保ち、双方向の変動を適時・適度に実施することが考えられる。安邦コンサルティングの上級研究員を務める賀軍氏によると、第一に、人民元レートの高まりと国内の経済構造の転換に伴い、中国の貿易黒字はすでに大幅に縮小し、人民元レートは均衡の取れた区間に入っており、人民元の大幅な切り上げにつながるファンダメンタルズの要素は弱い。第二に、中国経済は「三期畳加」(経済成長の転換期、構造調整の変動期、経済刺激の消化期の集中)の段階に入っており、経済成長の下降の圧力に直面している。一方の米国経済は回復傾向が明らかとなっており、人民元がドルに対して一方的に高まっていく可能性は低い。