経済成長の新段階が中国経済の新常態につながる
習近平総書記によって提起された「新常態(ニューノーマル)」の最も基本的な特徴は経済成長ペースの転換である。このことは中国経済に段階的変化が生じていることを示し、中長期的潜在成長率のトレンドが下向きに転じつつあるという事実を表している。中国経済は過去30数年間、10%近くの平均成長率で伸びてきており、世界経済史における「チャイナ・ミラクル」を創り出した。現在、経済発展を支える内部条件と外部需要の環境に重大な変化が生じており、経済成長率目標が合理的区間への引き下げが求められている。中国経済が新常態に突入するには下記いくつかの要因がある。
1つは世界経済が大きな調整局面に入り、外部需要の縮小が常態化になっていること。30年間にわたる中国経済の高速成長を支えてきた大きな要因の一つは、外向型経済発展の道を歩んだことだ。しかし新しい歴史発展の段階において、とりわけ2008年のレーマン・ショック以後、世界経済が「需要総量のペースダウン、経済構造の大調整」という局面に見舞われ、中国の外部需要も総量縮小の常態化を余儀なくされた。欧米など経済先進諸国が相次いで提起した「再工業化」・「2020戦略」・「再生戦略」といった措置、貿易保護主義の台頭に経済発展のモデル転換や比較優位産業発展の加速といった発展途上国の取り組みを加え、中国経済の高速成長を支えてきたこれまでの外需環境は一変した。
次はイノベーションによる競争の熾烈化、産業構造の転換・グレードアップの立ち遅れであること。現在、第三次工業革命がスタートを切り、主要先進諸国は次々と新興産業の開発に力を入れ、科学技術イノベーションと産業発展の未来陣地の争いに加わろうとしている。これら新たな試練は中国経済の革新駆動型発展方式への転換スピードの加速を余儀なくされた。だが、行政に頼りすぎる科学技術資源の配置方式によって中国の科学技術資源は深刻な浪費が生じ、多くの産業は競争力に欠け、コア技術が制限を受けることになっている。それは依然として明らかな事実だ。そのため、我々は自ら経済成長のペースダウンを図り、経済構造の転換・グレードアップに取り組む時間的・空間的余裕を開けなくてはならない。