20世紀末から21世紀初頭にかけて、ビデオレコーダーが人気を集めていた。次世代のデジタルビデオレコーダー市場を席巻しようと、日本の家電メーカーは相次いで巨額の費用を投入して研究開発を進めてきた。こうしてソニーとパナソニックが主導するブルーレイ陣営と東芝が主導するHD DVD陣営が形成され、数年にわたる激しい競争の結果、東芝はHD DVDビデオレコーダーの製造終了を発表し、ソニー側が勝利を収めた。
だが競争者たちの予想に反して、インターネットの高速化と雨後の竹の子のように次々に現れた動画視聴サイトによって、高額のデジタルビデオレコーダーを買う意味が根本的になくなってしまい、消費者も以前のように憧れの気持ちや消費意欲をもたなくなってしまった。ソニー陣営のブルーレイディスクは二大陣営の戦いでは勝利を収めたが、市場で巨額の利益を獲得することはできなかった。それどころか、ビデオレコーダーは長期低迷の大きな原因の一つになったのだ。
パナソニックは薄型テレビの発展において、ソニーと同じように重大な戦略ミスを犯した。今世紀初頭、シャープや東芝などは次世代薄型テレビの発展で液晶テレビに重点を置いたが、パナソニックはプラズマテレビを重視した。液晶は大型画面の問題を解決しただけでなく、消費電力の少なさや省エ・環境保護性能、使用寿命の長さなどの優位点から消費者の人気を集め、プラズマテレビは徐々に競争力を失っていった。パナソニックが2100億円を投入して設立した尼崎のプラズマテレビパネル工場は、稼働からわずか1年半で閉鎖に追いやられた。