FTAAPは今後、規則の規範化と基準の向上をはかり、先進エコノミーの求める高い基準に配慮すると同時に、発展途上エコノミーの現実的な条件にも適合したものとなる見込みだ。
馮維江:各種の自由貿易制度が大量に生まれていることは、貿易の自由化と簡便化に対してメンバーが大きなニーズを持っていることを示している。だが貿易・投資の自由化をさらに広範囲から多面的に解決するには調整のコストが高い。より狭い範囲や二者間に解決が限られた現在の体制は、妥協的で二次的な選択と言える。
だがこのことは、地域の経済・貿易規則のネットワークの分散状況を生んでおり、多様な規則や基準の乱立は、地域のメンバーの交渉資源の消耗につながっている。「スパゲティ・ボウル現象」(貿易ルールの乱立)は、こうした体制を利用するためのメーカーのコストを高めている。それぞれの国にとっては、狭い範囲の自由貿易体制であっても、参加しなければほかの国から排除される可能性がある。だがマクロに見れば、各国がすべて狭い範囲の自由貿易体制に参加せざるを得ないことは、自由貿易のねらいから逸脱した結果を生み、貿易・投資の効率をかえって引き下げることになる。