米連邦準備制度理事会(FRB)は先般「無期限量的緩和策」と称されるQE3の終了を発表し、次は利上げに政策の重点を置くことを明らかにした。このことはリーマン・ショック以降、史上最大規模の量的緩和が幕を閉じようとすることを意味する。
量的緩和(QE)の終了は世界経済にどんな変化をもたらすか。新興国市場、とりわけアジアはどう対応すべきか。上海証券新聞は野村ホールディングスグループアジア首席経済学者のRobert Subbaraman氏、オランダ発祥の総合金融機関INGグループアジア首席経済学者Tim Condon氏を招いて、彼らと共にポストQE時代におけるアジア経済のチャンスと構造転換について探った。
QEの終了による新興国市場のリスク
上海証券新聞: QE終了後、金融市場にどんな変動が起きるだろうか。FRBの利上げ政策は新興国市場にどんなリスクをもたらすか。政策決定当局はこれらのリスクにどう対応すべきか。
Robert氏: FRBが利上げ政策に踏み込めば、新興国市場でリスクが生じるだろう。金利が髙ければ経済への影響が確実になる。なぜなら、米国のより持続可能な経済回復が新興市場の輸出にメリットを与えるからだ。しかし量的緩和策によって、大量の資金が新興国市場に流れ込んでおり、米国の金利上昇に伴い、それら資金の一部が撤退する恐れがある。このことは新興市場の通貨疲弊、企業や金融部門の利益確保圧力、金利の一層の上昇(より多くの資本の流出を食い止めるため)を招く可能性が高い。ただ、それも新興国市場自身の状況に左右される。巨額な経常収支赤字を抱え、国内のレバレッジが高い水準にとどまり、財政が疲弊しているようなファンダメンタルの弱い経済体は、最もリスクにさらされやすくなる。
アジアではインドネシアが相対的に脆弱だが、しかしアジア以外の地域にはより多くの、疲弊している新興国市場経済体が存在している。その中の一部は経済規模のかなり大きい商品輸出国であるため、商品価格の軟弱にも見舞われる。