中国人民銀行(中央銀行)は昨年11月に「非対称な」金利引き下げ(貸出金利の下げ幅が預金金利の下げ幅を上回ること)を行ったのに続き、先月28日にも新たな金利引き下げを発表し、今月1日から金融機関の人民元建て貸出金利と預金準備率を引き下げるとした。引き下げ後、期間1年の貸出基準金利は0.25ポイント(p)低下の5.35%となり、期間1年の預金基準金利は0.25p低下の2.5%となる。ほかの預金や貸出の基準金利および個人の住宅公積金の預金・貸出金利も相応に調整が行われる。(文:石建勲・本紙特約論説員、同済大学財経研究所所長、同経済・管理学院教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
このたびの金利引き下げは人民銀が経済の新常態(ニューノーマル)に主体的に適応するためにうち出した有力な措置だ。現在の中国経済の運営は全体として落ち着きをみせるが、下方圧力の大きさ、企業の経営につきまとう困難、特に資金調達の難しさやコストの高さが突出していることが、中国経済が旧常態から新常態に移行し、経済構造の調整とモデル転換・バージョンアップが行われる過程での大きな障害となっている。国内を見渡すと、中国経済は目下、構造調整とモデル転換・バージョンアップの重要な段階にさしかかり、伝統的なエネルギーと新しいエネルギーが一種の膠着状態にあり、伝統的なエネルギーの占める割合はなお大きく、新しいエネルギーは経済の新たな発展方向を代表するものではあるが、占める割合はなお小さい。古い成長源の撤退は流動的なものであり、新たな成長源の育成は時間がかかるプロセスで、力を発揮するのは並大抵のことではない。このことが経済成長にとって一連の波瀾要素となり、経済の下ぶれやデフレの圧力が中国経済が新常態に向かうプロセスにいつもつきまとう。こうした状況の中で、意志を強く持ち、改革と構造調整を引き続き強化すると同時に、事前の調整や微調整を適切に行い、中国経済が成長の安定、構造の最適化、環境の改善、福利厚生の向上という新常態に早急に移行するよう誘導し、経済が合理的で適切な範囲に落ち着くよう努力し、改革と構造調整のために安定した環境を創出することが必要だ。人民銀の金利引き下げは、経済の構造調整とモデル転換・バージョンアップに向けて中庸で適切な通貨・金融環境を創出するものだといえる。