「ルール整備が進んでいる中国市場は魅力的だ――」。こう語ったのは米ウォルマート中国法人の付小明・シニア副総裁。今年第2四半期でウォルマートの総売上高は1.2%増を達成。中国での長期投資計画を持つウォルマートは市場の先行きを楽観している。
経済成長の「ニューノーマル」(新常態)時代を迎えた中国で、外資の誘致にも変化が生じている。資源面や優遇政策で各地が競い合う時代が過ぎ去り、中国政府は市場ルールの整備、市場秩序の改善に力を注ぐ。単たる外資の「誘致」から、質を重視した「選択的な誘致」に転換。投資環境作りに重点が置かれている。
市場ルールの整備が大きく進展している。中国政府は今年1月に「外国投資法(草案)」を公布し、意見募集(パブリックコメント)を実施。個別投資案件ごとの審査・承認制度は廃止される。代わりに、内国民待遇原則とネガティブリスト方式に基づいた外資への管理体制を導入。4月からは改正版「外商投資産業指導目録」が施行。外国企業に対し、半導体、液晶パネル、新エネルギー車・燃料電池といった分野への投資を奨励している。
こうした措置で中国市場は魅力を増している。在上海米国商工会議所が発表した「2015年中国商業調査」によると、14年通期で中国事業が増益を達成した調査対象企業は全体の73%、増収を達成した企業は全体の75%に上った。また、67%の企業が「15年に中国で投資を拡大する計画がある」と答えた。中国の外資導入額もそれを裏付ける。今年1-8月の海外直接投資(FDI)受入額(実行ベース)は前年同期比9.2%増の5252億8000万人民元に達している。