またアジアの一部の国はこれから急速に日本の製造業の撤退に直面することになる可能性がある。1980年代以降、国内市場には限界があることから、日本は産業の海外移転政策を持続的に実施し、移転先の人口メリットや環境のメリットを享受し、製造コストを引き下げてきた。だが今や円が大幅に値下がりしたため、日本企業が海外で製造し、日本に再輸入するモデルの強みが徐々に失われている。メーカーの多くは製造ラインを国内に回帰させる計画を立て始めた。このような撤退の流れが現実のものとなれば、これまでの投資先国の雇用や成長に一定の損失が出ることは確実だ。
全体としていえることは、円相場の動きは非常に受動的だということだ。日銀がインフラ目標を引き下げたこと、日銀の黒田東彦総裁が追加緩和観測はすでに後退したと繰り返し述べることから、日銀が15年中頃のような大幅な円安の再現を望んでいないことがわかる。とはいえ、日本の経済情勢は目立って改善されたとはいえず、日銀には追加緩和以外の別の選択肢はない。よって円相場上昇の可能性には限界があるものの、しばらくは低下傾向が転換することは困難だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年1月7日