米国の公共放送サービス(PBS)電子版によると、エール大学のシニアフェローで、著名エコノミストのスティーブン・ローチ氏はこのほど取材に対し、中国経済について成長率の減速ではなく、GDPの重要な構成要素の転換に注目すべきとの見方を示した。GDPけん引役が製造業からサービス業、投資と輸出から国内消費へシフトしている。足元で製造業からサービス業への構造転換が急ピッチに進んでおり、投資と輸出から国内消費への転換も向こう3~5年で大きな進展が得られるとみている。
ローチ氏は、中国GDPにサービス業の寄与率はすでに50%を超え、製造業と建設業の合計を10ポイントも上回っていると指摘した。
また、中国で推進されている3つの戦略を踏まえ、一般家庭の消費も拡大が見込めると予想。一つ目の戦略はサービス業を中心とする雇用の創出。足元でサービス業の労働力集約度はすでに従来の製造業を大幅に上回っている。二つ目は都市化の推進にともなう実質賃金の上昇。都市部の所得水準は現在、農村部の3倍近くに相当する。一つ目と二つ目の戦略が奏功し、GDPに占める個人所得の割合は次第に上昇する見込み。そこからは社会保障ネットワークの整備という三つ目の戦略だ。社会保障の充実につれ、一般家庭は収入を貯蓄から消費に回すようになるという。