中国の自制力:「三期叠加」を背景にバージョンアップ
「ムーディーズは中国経済の展望を弱含みとした。今年の経済情勢をどう見るか?」
「この数年、銀行の不良融資率が増加しているが、このリスクをどう評価するか?」
ロイター通信やNHKなど外国メディアの鋭い質問には、中国経済に対する憂慮がはっきりと読み取れる。これに対し回答者や全人代代表は、確固とした回答をしている。発展改革委員会主任の徐紹史氏は、「中国経済は従来的な観点で語ることはできない。経済が新常態に入ったという観点で見るべきだ。そこで最も重要なのは、“速度の変化”、“構造の最適化”、“エンジンの転換”の3点である」と述べる。この観点で見ると、中国経済はとても良好なパフォーマンスを見せていると同氏は述べる。
李克強総理は記者会見で、“新経済”と“新運動エネルギー”に関して世界に向けて説明をしている。「“新経済”は単に“インターネット+”やEコマースなど新興産業や業態を表すものではない。製造業におけるスマート製造や家庭農場なども含まれる」。“新経済”の発展は、スモールビジネス企業にとって有利であり、大企業にとってはさらに有利なものだと李首相は述べる。
全人代の代表でテンセントCEOである馬化騰氏はかつて、インドメディアの取材に対し、シェアエコノミーは中国経済にとって大きな新運動エネルギーになっており、中国経済の“エンジンの転換”の実現に役立っていると述べた。全人代の代表で中央銀行副頭取である陳雨露氏は、新経済の発展や供給側の改革の実現に必要なものは技術革新と産業のイノベーションだと述べている。
「イノベーションは経済と社会の発展を促すものであり、基礎研究はイノベーションを促すものである」。全人代の代表で国家自然科学基金委員会主任である楊衛氏は取材に対し、この30年で中国の基礎科学研究への投入額は310倍に増加したと指摘する。高速鉄道や第三世代原発に代表されるように、中国はすでに核心技術を攻略し、生産力のイノベーションを計る段階に到達していると述べる。
全人代代表で、工信部の副部長である懐進鵬氏は取材に対し、中国の製造業は規模で世界一になった。品質に関しても、特に重要設備分野などで試練に耐えうるものとなっている」とした上で、“中国製造2025”計画では10大発展分野が列挙されており、2025年までに中国は世界製造強国の1つになることだろうと話す。