民間企業の投資も未知数だ。「朝日新聞」は、人口減少を背景に国内で生産拡大を図る日本企業は非常に少ないはずだと指摘。歴史的な低金利のなかで、低利の融資を実施しても、大規模な資金需要の喚起は難しいとしている。農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は、「政府系金融機関による低金利融資が、日銀のマイナス金利政策で利ざやが縮小して厳しい民間金融機関を圧迫する懸念がある」と指摘した。
日本国内では、「新経済対策は大きなバブル」との見方が広がっており、実質的な効果は不透明だ。内閣府は実質国内総生産(GDP)を向こう2年間で1.3%押し上げると試算している。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「これまでの日本政府も財政刺激策を多用してきたが、いずれも経済活動への刺激効果は非常に限定的だった」と語る。
今回の景気対策には、多くの公共事業のほか、現金給付も盛り込まれた。日本共産党の志位和夫委員長はこれについて、「破綻した大型公共事業へのバラマキを行おうとしている」と語った。