写真:13日に韓国で発火した「Galaxy Note7」
中国で発売された「Galaxy Note7」の発火証拠写真が19日に出てきたことから、「スマホ爆弾」を抱えたサムスンが再び窮地に立たされている。中国で初めて発生した発火事故に中国のネット民は、中国でリコールをしないサムスンに疑いの目を向けている。 多くの国で「Galaxy Note7」の発火事故が起きていることから、サムスンは世界的なリコールを発表した。しかし中国市場は例外とした。中国の関連部門の介入により、一部の体験機だけを回収したにとどまる。正式に発売されたものはリコール範囲外となった。「Galaxy Note7」の発火爆発事故以来、サムスンの株価は急落している。多くの航空会社で同機の機内使用を禁止したばかりか、空港内への立ち入りを禁止するケースも見られた。高級スマホブランドのイメージを作り上げてきたサムソンにとって大きな打撃となっている。韓国のGDPの2割以上を占めるサムスンの今回の動揺は、韓国経済を急激に冷え込ませている。韓国紙「毎日経済」の社説は、全力で対処しければ消費者の信用は取り戻せないと記す。ある分析では、サムスンには他にも様々なスキャンダルがあり、真摯に反省すべきだとした上で、「もしサムスンがスマホ発火爆発事件のために中国市場を失った場合、業績が急降下する可能性が高い」と指摘する。
「発火原因が異なる」とサムスン 「Galaxy Note7」は、電池が容易に発火しやすいことから世界範囲でのリコールとなった。しかしサムスンは9月14日、中国のウェブサイトで、中国で販売されている機種に搭載されている電池はメーカーが異なり、リコールの必要はないとの声明を発表した。中国で発生した「Galaxy Note7」の発火事件は、このサムスンの声明に冷や水をあびせるものだった。
19日午後、サムスンと電池供給メーカーのATLは共同声明を行った。それによると、中国で発生した「Galaxy Note7」の発火問題は、外部の熱源から引き起こされたものであり、電池とは無関係だとしている。しかしこの声明はただちに中国のネットユーザーを刺激した。ネット民は「どんな外部熱源なんだ? 電子レンジ? オーブン? それとも道教の煉丹炉?」、「第三者機関ではないサムスン内部の結果など信じられるか」などとコメントした。汕頭大学国際インターネット研究院の方興東院長は、「中国大陸のスマホ市場規模は巨大だ。世界の約3分の1を占めている。だから問題が生じるとサムスンへの影響も大きくなる。中国の消費品分野での法律的保護は、アメリカやヨーロッパなどの国に比べて厳格ではない。サムスンが中国を他の国と区別しているのは、法律のリスクとリコールのリスクのバランスを取った上のことなのは間違いない」と話す。
空前のピンチのサムスン
「ニューヨークタイムズ」によると、サムスンは創業以来のピンチに直面している。同社の製品が発火したが、その株価やブランド価値の足元にも火がついている。資本市場においてサムスンの市場価値は「スマホ爆弾」事件以降、すでに220億ドル以上も下がっている。これは2か月ぶりの安値だ。サムスンの株価は2日連続で11%超下落した。これは2008年のリーマンショック以来となる2日下落幅である。Note7の電池供給メーカーであるSDIの株も続落している。サムスンは今回の事件で大きな損失を被ることになるが、正確な損失規模は第4四半期または来年にならないと分からないと、韓国世論は認識している。
ブルームバーグは以下のように評論する。現在分かっている問題は、スマホの電池がサムスン傘下のSDIが製造したものであり、事故原因はスマホ製造過程上の瑕疵にあることである。そしてこれが韓国とサムスン内部に衝撃を与えている。サムスンは数十万の従業員を抱えており、「漢江の奇跡」を導いた会社として尊敬されている。電子製品産業はサムスンのお家芸だ。長年の経営を通じて獲得した高品質と先端技術を持つという評判、そしてアップル社と並ぶ世界最大のスマホメーカーという評判は、今回の問題で揺らぐ可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月24日