韓国の盛衰がかかるサムスンの未来
「韓国人の人生で避けることのできない3つのこと。それは死と、税金と、サムスンだ」。韓国にはそんな言葉がある。サムスンは韓国で最も巨大な企業グループであり、42万人の従業員を抱える。業種は電子、機械、化学工業、金融、建築、紡績、医療、遊園地、広告などの分野に拡がる。2013年、サムスングループの営業収入は約3000億ドルに上り、韓国のGNPの約4分の1を占めた。ウォールストリートジャーナルによると、サムスンの市場価値は現在、ソニーの5倍であり、インテルやコカ・コーラの株価さえも上回る。
「スマホ爆弾」事件以前のサムスンの株価は、今年になって30%以上も値上がりし、サムスンだけで韓国株式市場全体の21%を占めた。株価上位の2位から9社の株価を全て足しても、サムスンを越えるものではない。今回の一件は、韓国経済全体が風邪を引いたようなものだ。
韓国国内でサムスンの「悪口」をあえて言うメディアはまれだ。今回のサムスンショックに対し、多くのメディアは「Note7のユーザーは交換も返品もできる。サムスンのリコール措置は正しい」といった内容の報道をしている。サムスンは今回の事件を「想定外の外部危機」と捉えている。実のところ、今年に入ってサムスンはスキャンダルに事欠かない。2か月以上前、74歳になるサムスン会長の李健熙氏に売春スキャンダルが発覚した。つい最近も、同氏の長女である李富真氏の離婚訴訟が、韓国の全ての新聞紙のトップを飾っている。
米週刊誌「バロンズ」によると、サムスンのような巨大財閥に対し、韓国国民は愛憎相半ばする感情を抱いているという。サムスンやLGなどの企業のおかげで韓国が世界経済の中で一席を占められるようになったと誇りに思う一方、財閥の影響力が過度に大きく、中小企業の発展や新興企業文化の発展を阻んでいると考えている。
ある報道記事によると、韓国の大統領は再選ができず、権力に限りがあることから、韓国の真の実力者はサムスンの李一族であるとみなされている。大統領に就任して間もない頃に朴槿恵氏は、韓国の財閥支配を終わらせ、経済の多様化を進めると約束した。しかしサムスンを基準に見ると、朴槿恵大統領の成績は不合格と言わざるを得ない。もし朴槿恵大統領が韓国の財閥体制を変えようと思うなら、トランプ氏率いる共和党が米企業を変えるのと同様のことが必要だと同記事は記す。
サムスン会長の李健熙氏は2007年にこう警告している。「韓国は低コストの中国とハイテク技術の日本に挟まれている。新たな発展の道を探す必要がある」。それから9年が過ぎ、韓国の未来は依然として9大財閥に握られている。韓国が過度に大財閥に依存することの問題は、万が一にサムスンが没落したら韓国はどうなってしまうのかということだ。それ以外にも、もし中国の新興企業が欧米市場を席巻したら、韓国企業は一気に不振に陥ってしまいかねない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月24日