中国人民大学重陽金融研究院高級研究員の丁剛氏はハノイでリサーチを行ったところ、街頭を走るバイクはホンダやスズキでなければヤマハで、中国台湾製の三陽を時々目にすることがあっても、中国人に親しまれている嘉陵、力帆、宗申がないことに気づいた。ネット有名人代表団はベトナムの学者と交流し、ベトナムのバイク市場で日本ブランドが8割以上のシェアを占め主流になっていることを知った。前世紀末より相次いでベトナム市場に進出した中国製バイクは、「全面撤退中」となっている。
今年5月の報道によると、ベトナムのバイク保有台数は4500万台以上で、ベトナム人2人当たり1台保有していることになる。これほど大きな市場を中国企業が手放すはずがない。しかも10年前には高いシェアを占めていたのだからなおさらだ。日本のスズキ、ホンダ、ヤマハは90年代後半にベトナム市場に進出した。中国が生産するバイクの部品は2000年前後に大量にベトナムに入り、それから現地企業によって組み立てられた。ベトナムで中国のバイクを組み立てていた企業は、当時約60社あった。一部の中国ブランドのバイクの価格は約500ドルで、日本製の4分の1ほどだったため、売れ行きが好調だった。今世紀に入ってから最初の数年に渡り、中国ブランドのバイクはベトナムで8割の市場シェアを占めていた。この段階は一部の学者によって、「チャイナ・インパクト」と呼ばれた。
しかしこの衝撃がもたらした「威力」は、中国企業自身の問題と日本企業の巻き返しにより、徐々に弱まっていった。日本のホンダは2002年より廉価版を発売し、価格を従来の半額に抑えた。こうして中国製バイクの市場シェアを食い込んでいった。
中国バイクメーカーのベトナム市場における黄金時代はすでに過ぎ去った。業界全体が、再編に直面している。年初から現在まで、中国の東南アジアへのバイク輸出台数は前年同期比5%減となっており、年末にはさらに状況が悪化する見通しだ。
当時の過度な価格競争は、中国バイクメーカーの赤字の原因となった。値下げを繰り返せば、企業の研究開発費に影響が及び、製造コストを抑えなければならない。一部の中国製バイクの品質問題が明るみに出ると、ベトナムの消費者は高燃費といった問題により、再び日本ブランドのバイクを選択するようになった。