レノボが富士通のPC事業を買収する狙いは、主に業績回復にあるという。レノボは1984年に中国の政府系研究機関の研究員らが設立したパソコンメーカーで、2005年に米IBMからPC事業を買収し、一躍世界の注目を集める存在となった。
報道によると、PC市場はレノボにとって難攻不落だった。2015年に世界シェア20.8%に達し、首位に立った(米国IDC調査)が、2015年度(2016年3月期)は7年ぶりに最終赤字に転落。だが、これは米モトローラの買収費用がかさんだ上、スマートフォン(スマホ)の販売競争が激化したためで、モバイル事業は4.69億ドルの赤字だったが、PC事業は14.91億ドルの黒字だった。
レノボが富士通のPC事業の買収を積極的に進めた背景には、NECとの合弁事業が順調だったことがある。同社は日本での合弁事業で徹底した現地化を進めてきた。NECの合弁会社には中国人はほぼおらず、統合は部品調達と人事だけに限った。製品と販売については現地の需要を重視する戦略をとった。