まず、世界には多くの華人・華僑がおり、近年さらに多くの中国人が海外に移住している。海外の永住権を持つか、外国のパスポートを持ち中国で生活・勤務している人も少なくない。これらの人の中には、潤沢な資金により海外口座を利用し、脱税している人も多い。
またCRSは中国だけで実施するわけではない。今年のG20杭州サミットでは、中国を含む101の国と地域が、CRSの実施徹底を約束した。これらの国と地域には世界の主要経済体のほか、税率が低く設定されている地域も含まれる。例えばタックスヘイブンとして知られる英領バージン諸島、ケイマン諸島、バミューダ諸島なども、2017年より金融口座の情報交換を開始する。
そのため中国人が資産を海外に移し、海外で多くの金融資産を持つ場合も、CRS実施国の金融機関によって非住民金融口座としてみなされる。その口座情報も収集・報告され、将来的には中国の税務当局と交換される。最終的に中国と各国(地域)の、国境をまたぐ税金に対する効果的な監督管理が実現される。
富豪の金融資産、いかにして透明化されるのか
意見募集版によると、申告が必要な金融口座には預金口座だけではなく、証券口座、金融資産管理商品、ファンド、信託などの専用口座、それから現金の価値を持つ保険契約やプライベート・エクイティ・ファンドのパートナー権益などを含むその他の口座も含まれる。