IBSの執行役員で主席を兼務する羅峰氏は、「将来的に欧州全域の企業や消費者に金融サービスを提供し、中国と欧州との二国間や多国間貿易の支払いや決済での利便性を高めたい」と意気込む。
人民元の国際化の進展や中国人観光客の購買力の向上に伴い、中国のフィンテック企業も欧米市場の開拓に相次いで乗り出している。中国ネット通販最大手、アリババ傘下のオンライン決済サービス、支付宝(アリペイ)は2016年8月、世界最大の決済端末機器メーカー、仏インジェニコと提携し、欧州市場に参入した。英メディアによると、メッセージアプリ「微信」(ウィーチャット)の決済サービス「微信支付」(ウィーチャット・ペイメント)もほどなくして英国市場に参入した。
英国は欧州の中で、イタリアに次いで2番目に「微信支付」が普及している国だという。だが、こうしたフィンテック企業は専ら決済業務を手がけるにとどまり、預金・貸付といった中核業務では、大手の国有商業銀行に遅れをとっているのが現状だ。