ドイツ企業が注目を浴びるのには他の理由もある。世界が相対的に不景気な時期において、安定したドイツ経済と専門性の高い中小企業はとても魅力的だからだ。イギリスの脱欧やアメリカのトランプ大統領といった不確定要素があるなか、ドイツは公認された危険回避の安全地帯ということもある。
プライベートエクイティファンドの買収も増加した。つまり買収企業の目的は利潤をさらに拡大するための金融投資にある。「彼らの多くが工業分野の企業に注目している。ドイツ経済の心臓だ」とロバーツ氏は述べる。彼らにとってドイツは「当然のターゲット市場」なのだ。
さらに、ある業界も買収の目標となっている。ベインコンサルティングのパートナーであるフランツ‐ロバート・クリンガン氏は、「投資家は医療や生命保険の業界を“安全牌”と考えている」と述べる。世界が高齢化する中、医療や介護のニーズが高まっているためだ。また医薬品メーカーは経済や政治の浮き沈みに左右されず、収益が相対的に安定している。